2016年03月31

ミスカミスカ®物語20

テーマ:ミスカミスカ
ミスカミスカ®の皮膚の美容・アンチエイジング効果4

表皮の構造と機能

ミスカミスカ®は皮膚の真皮の構成成分のヒアルロン酸、エラスチン、コラーゲンを分解する酵素ヒアルロニダーゼ、エラスターゼとコラゲナーゼ(MMP-1)の活性を阻害する働きがあることが薬理試験で検証されています(ミスカミスカ®物語6で紹介しました)。また、皮膚の老化には糖化反応が大きくかかわっています。ミスカミスカ®は生体内での糖化反応において最終糖化産物(AGEs)の生成を阻害する働きがあることがin vitro抗糖化試験で検証されています(ミスカミスカ®物語14で紹介しました)。ミスカミスカ®の利用により肌の美容・皮膚のアンチエイジング効果が期待できます。

皮膚の構造

皮膚は身体の外表面を覆う重要な器官です。その構造は下図に示すように表層部から内側に表皮、真皮、皮下組織の3つに分けられます。この内、皮膚の老化により肌のシワやたるみ、乾燥、シミ、荒れといった現象は表皮と真皮の糖化反応などで起こります。ここでは表皮の構造と機能について、次にミスカミスカ®物語21では、ミスカミスカ®の利用により期待できる肌の美容・皮膚のアンチエイジング効果を紹介します。

表皮の構造

表皮は皮膚の一番外側にあり、約0.2㎜の薄い組織です。図1で示すように表面は皮脂膜で覆われ、その下は角質層、顆粒層、有棘(ゆうきょく)層、基底層の4つの層からなっています。

基底層は表皮の最下層にある3種類の細胞の集まりです。最も数の多いのはケラチノサイト細胞で、この細胞が一列に並び一層だけからなる基底層を形成しています。この層の間にメラノサイト細胞、ランゲルハンス細胞が点在しています。ケラチノサイト細胞が成熟すると細胞分裂して有棘細胞を作り、上の層に移行して有棘層を形成します。メラノサイト細胞は必要に応じてメラニンを作り、ケラチノサイト細胞に配分します。ランゲルハンス細胞は免疫機能を持ち、侵入してくる細菌、ウイルスなどの異物や抗原を排除して皮膚を防御・保護します。

有棘(ゆうきょく)層は表皮の中で最も厚い層で、有棘細胞が棘のような形をした細胞間橋で強く結びついて、丈夫な層を形成しています。有棘細胞はケラチン線維とフィラグリンの2種類のタンパク質を合成して、これらタンパク質から成るケラトヒアリン顆粒を細胞内につくり、顆粒層に移行します。 

顆粒層を構成するケラトヒアリン顆粒を含む顆粒細胞は、さらにスフィンゴ脂質からできた層板顆粒を細胞内に作ります。 

角質層へ顆粒細胞が移行する際に、核やミトコンドリアなどの細胞内の器官が無くなり、ケラトヒアリン顆粒の構成成分のケラチン線維だけで角質細胞を作り、この細胞が重なり合って10層ほどの角質層を形成します。また、ケラトヒアリン顆粒のもう1つの構成成分のフィラグリンはタンパク質分解酵素で分解されて、細胞内でNMF(Natural Moisturizing Factor, 天然保湿因子)に変わります。NMFの構成成分はアミノ酸がほとんどですが、それ以外に有機酸、尿素、ミネラルなどを含んでいます。NMFは水分を保持する機能があり、肌の保湿効果を高めます(図2)。
さらに顆粒細胞で形成された層板顆粒は角質層では角質細胞間脂質(セラミド)になり、NMFと共に肌の保湿の役目を果たします。


表皮の新陳代謝(ターンオーバー)

表皮には毛細管がありません。常に健康な美しい肌を保つために、各層を形成している細胞は真皮から栄養をもらって新陳代謝が行われています。先ず基底層では常に新しいケラチノサイト細胞がつくられ、古くなった細胞は有棘細胞になり、有棘層に移行します。次に有棘細胞は顆粒細胞になり、顆粒層へと少しずつ表面に向かって移行します。このように細胞分裂、成長、変化を繰り返し、押し上げられ、約14日かけて基底層のケラチノサイト細胞は角質細胞になります。さらに14日かけて角質細胞は角質層の下部から上部に押し上げられて、その役目を終え、垢となって自然に剥がれ落ちます。正常な表皮の新陳代謝は約28日がワンサイクルです。
このようにして表皮が新陳代謝されることにより、常にハリ、弾力、潤いのある肌が保たれています。
 
(文責 光永俊郎)
2015年12月25

ミスカミスカ®物語19

テーマ:ミスカミスカ
ミスカミスカ®の抗糖化作用10:
動脈硬化と糖化およびミスカミスカ®の効用
動脈硬化の主要因の一つは血液および血管の糖化反応において生成した最終糖化産物(AGEs)の血管内膜への沈着です。ミスカミスカ®はこのAGEsの生成を阻害する働きがあることがin vitro抗糖化試験で検証されています(ミスカミスカ®物語14で紹介しました)。ミスカミスカ®の利用により動脈硬化の抑制が期待できます。

動脈硬化とは
動脈は、心臓から身体のすみずみまで血液(酸素と栄養素を含む)を運ぶ重要な役割を持っています。この動脈が年齢と共に老化して、弾力性を失って硬くなったり、動脈内にさまざまな物質が沈着して、血管が狭くなったり、血液の流れが低下する状態を動脈硬化といいます。
動脈硬化は次の3種類に分類されています。

1)粥状硬化
大動脈、冠動脈,脳動脈などの太い動脈の内膜に粥状物質(アテローム)がたまり、血管が狭くなり、血流障害(狭心症、心筋梗塞、脳梗塞など)を引き起こし、生命にかかわる重大な疾患の原因となる危険な動脈硬化で、アテローム硬化とも言われています。臨床的に最も主要な動脈硬化で、一般に「動脈硬化」は粥状硬化を指します。この硬化には複数の機序が関与しますが、最も大きい要因は糖化、酸化および糖酸化されたLDL(低密度
リポタンパク質)が血管の内膜に蓄積することよる症状です。

2)中膜硬化
動脈は内側から内膜、中膜、外膜の3層構造です。その中膜に石灰が沈着し、血管が硬くなります。この動脈硬化はメンケベルク型動脈硬化とも言われています。臨床的には問題の少ない動脈硬化です。

3)細小動脈硬化
脳や腎臓の細い動脈の血管壁が老化などにより弾力性をなくし、硬くなる症状です。ラクナ梗塞といわれる小梗塞を起こす恐れがあります。


LDL
 LDLは血中リポタンパク質の1種で、その組成はタンパク質(アポリポタンパク質B) 20%、トリアシルグリセライド(中性脂肪)10%、コレステロール45%、リン脂質25%からなります。LDLは、われわれの身体の構成単位の細胞の細胞膜の構成成分はじめ生体内で重要な働きをしているコレステロールを末梢組織へ運搬するという機能を持っています。しかし、LDLが過剰になると動脈硬化促進因子になるというマイナス面があります。

LDL受容体の機能
LDLから末梢組織へのコレステロールの受け渡しは末梢組織の細胞膜に存在するLDL受容体を介して行われます。この受容体は、LDLに含まれるアポリポタンパク質Bを認識して、これと結合します。LDLと受容体の複合体は細胞内に取り込まれ、細胞内で受容体とLDLが離れて、LDLだけ細胞内に取り込まれ、受容体は再び細胞膜へ戻って同じ機能をします。

粥状硬化
 この粥状硬化の主原因物質は、図1に示す血液中の糖化・酸化反応により生成した糖化、酸化、糖酸化修飾されたLDL(=AGEs)です。末梢組織の細胞膜に存在するLDL受容体はアポリポタンパク質Bのみを認識して、LDLを細胞内に取り込みます。しかし修飾されたLDLは認識しません。そのため血液中に残り、血管内膜に沈着します。これをマクロファージが取り込みます。マクロファージは取り込み過ぎると泡沫細胞に変化して、機能を失います。機能を失った泡沫細胞は粥状のアテロームとなり、血管内膜に沈着して、血管内腔をどんどん狭くして、動脈硬化を発症します。

ミスカミスカ®の効能
 ミスカミスカ®は動脈硬化の主原因である糖酸化LDLはじめ血液中および血管でのAGEsの生成を阻害する働きがあることがin vitro抗糖化試験で検証されています。ミスカミスカ®の利用により動脈硬化の発症抑制が期待できます。

   (文責 光永俊郎)




2015年09月11

ミスカミスカ®物語18

テーマ:ミスカミスカ
ミスカミスカ®の抗糖化作用9:
糖尿病と糖化およびミスカミスカ®の効用3
ミスカミスカ®はマルトース(麦芽糖)やスクロース(蔗糖)を分解する酵素のα-グルコシダーゼの活性を阻害する働きがあることが薬理試験で検証されています(ミスカミスカ®物語7で紹介しました)。またミスカミスカ®は生体内での糖化反応において最終糖化産物(AGEs)の生成を阻害する働きがあることがin vitro抗糖化試験で検証されています(ミスカミスカ®物語14で紹介しました)。ミスカミスカ®の利用により糖尿病血管合併症の発症抑制が期待できます。

糖尿病血管合併症
糖尿病血管合併症とは糖尿病を発症してから数年を経て発現する疾病です。糖尿病で血糖をコントロールする目的はほとんどこの合併症を予防するためです。糖尿病血管合併症は多彩で、体内のあらゆるところで発症します。特に糖尿病性神経障害(末梢神経の疾病)、糖尿病性網膜症(目の疾病)、糖尿病性腎症(腎臓の疾病)は糖尿病三大合併症といわれています。


糖尿病三大合併症
糖尿病による慢性的な高血糖が続くと、血液中での糖化反応が亢進し、その結果AGEsが生成し、血管内に蓄積されると、種々の疾病が発症します。特に毛細血管など微小血管の発達した代謝活性の高い組織である、末梢神経系、網膜、腎臓で発症した小血管障害は糖尿病三大合併症といわれています。
 この小血管障害は血糖のコントロールなく糖尿病が進行すると発症します。特に神経障害は比較的早期から出現します。網膜症は糖尿病発症から5年ほどで、次いで腎症が出現します。一般に網膜症の発症がなく、腎機能障害が発現した場合は、原因は高血圧などの別の疾患による可能性があります。


1)糖尿病性神経障害
われわれの神経系は中枢神経系(脳と脊髄)と全身に分布する末梢神経系に大別されます。末梢神経系はその働きから体性神経系と自律神経系に分けられます。体性神経系は感覚(知覚神経)と運動(運動神経)に関する調節を行っています。自律神経系は消化や循環といった意志と無関係に反応する器官(内臓、血管など)などの働きを調節しており、互いに拮抗して作用する交感神経と副交感神経とからなっています。
 糖尿病性神経障害は末梢神経系の障害です。初期症状は手足のしびれなど知覚神経障害から始まり、進行すると運動神経障害が起こり、筋肉に力が入りにくくなったり、顔面神経麻痺などの症状が現れます。さらに怪我や火傷をしても気付かず化膿して壊疽を起こすこともあります。さらに進行しますと自律神経障害が起こり、体内の内臓機能を調節が不能になり、血圧や脈拍の調節バランスが崩れ、便秘、下痢、起立性低血圧(立暗み)、排尿困難,インポテンスなどの症状が現れます。これらの障害が重症化すると無痛性心筋梗塞、無自覚性低血糖など危険な状態を引き起こします。


2)糖尿病性網膜症
目の主な構造と機能は、カメラのレンズの役目を果たす水晶体とフイルムの役目を果たす網膜です。網膜で小血管障害が発症しますと、初期は小さな出血や白斑が現れます。進行すると眼底出血や黄斑浮腫が生じます、さらに進むと糖尿病性網膜症が発症して網膜剥離や網膜の前の硝子体に混濁が現れ、失明します。

3)糖尿病性腎症
腎臓は血液の浄化器官です。その機能は左右の腎臓にそれぞれ約100万個、計200万個あるネフロンによって担われています。ネフロンの構造は腎小体と尿細管からなり、腎小体は糸球体とそれを包むボーマン嚢からできています。この糸球体が血液をろ過して、浄化する役目を果たしています。
 腎臓で小血管障害が発症しますと、糸球体が硬化して、機能しなくなります。これが進行すると徐々にその数を減らしていきます。それに伴い腎臓の機能が低下して、糖尿病性腎症を発症し、人工透析に頼らなければならなくなります。


ミスカミスカ®の効能
ミスカミスカ®はマルトース(麦芽糖)やスクロース(蔗糖)を分解する酵素のα-グルコシダーゼの活性を阻害する働きがあることが薬理試験で検証されています。ミスカミスカ®の利用により食後の過血糖の改善が期待できます。またミスカミスカ®は生体内でのAGEsの生成を阻害する働きがあることがin vitro抗糖化試験で検証されています。ミスカミスカ®の利用により小血管障害による糖尿病血管合併症の発症抑制が期待できます。
(文責 光永俊郎)

2015年03月18

ミスカミスカ®物語 17

テーマ:ミスカミスカ
ミスカミスカ®の抗糖化作用8:糖尿病と糖化およびミスカミスカ®の効用2
血液中の糖化反応
血液中には成分としてタンパク質(主にヘモグロビン、アルブミン、グロブリンなど)とグルコース(血糖)が常に一定の濃度で存在しています。そのために血液中では図1に示すような糖化反応が常に起こっています。
この反応の前期反応生成物のアマドリ化合物は糖尿病診断のマーカーとして利用されています。 
後期反応では酸化、脱水、縮合、環状化など複雑な中間段階を経て、終期段階で不可逆的な最終糖化産物(AGEs)を生成します。このAGEsの生成反応は酵素的な制御がなされず、非酵素的に生体タンパク質において進行する修飾反応です。そのため血液中のグルコース濃度が高くなるほどAGEsはより多く生成します。生成したAGEsが血液はじめ各組織中に蓄積されると、糖尿病血管合併症、動脈硬化、神経変性疾患、加齢関連疾患などの発症に共通した原因になります。
糖尿病と血管障害
1)血管について

血管には、動脈(大動脈を含む)、細動脈、毛細血管、細静脈、静脈(大静脈を含む)の5種類の血管があります。図2,3に示すように動脈、静脈は内膜(内皮細胞、基底膜)、中膜(平滑筋)、外膜の3層から成り、各膜間に弾性板があります。細動脈、細静脈は内皮とそれを取り巻く平滑筋から構成されています。これらに対して毛細血管(図4)は1層の内皮細胞と基底膜からなり、所々に周皮細胞があり、身体のほぼすべての組織に分布しています。毛細血管は赤血球がやっと通るほどの細管です。また、非常に薄いので多くの物質が容易に血管壁を通過し、ここで血管内外の物質交換(栄養物と老廃物の交換)がなされます。そのため、肝臓、腎臓、神経系、筋などの代謝活性の高い組織には発達した毛細血管網があります。


1)および3)は“羊土社発行「臨床につながる解剖学イラストレイテッド」”より
2)は“ヌーヴェルヒロカワ発行「カラーで学べる病理学第3版」”より

2)血管障害
 糖尿病の治療の大きな目的は血管障害の予防です。糖尿病による血管障害には小血管障害と大血管障害の2種類あります。前者は毛細血管など顕微鏡レベルの細い血管が侵される病態で、糖尿病に特有の3大合併症といわれる網膜症、腎症、神経障害です。後者は目で見える血管の障害で、脳卒中、心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症です。
3)血管障害の原因
血管障害の発症の原因は直接AGEsによる場合とAGEsに対する受容体1を介する場合があります。前者の場合はAGEsが血管内皮に蓄積されることにより発症します。後者の場合はマウスを使った研究で、血管内皮細胞でRAGEを過剰発現するトランスジェニックマウスを用いて糖尿病を誘発すると、糖尿病腎症の発症し、進行します。これに対して全身でRAGEの発現を欠くRAGEノックアウトマウスでは糖尿病を発症させても、腎症の発症がないという研究報告があります。この結果はRAGEが血管障害の発症、進展に直接関与していることを示しています。

1)AGEsに対する受容体(RAGE:receptor for AGEs):膜タンパク質の1種で、血管内皮細胞、血管平滑筋細胞,周皮細胞、腎メサンギウム細胞、神経細胞などで認められています。
糖尿病血管合併症
 糖尿病血管合併症は高血糖が慢性化すると、血液中での糖化反応が亢進することにより多くのAGEsが生成します。これらのAGEsが毛細血管網の発達した腎臓、神経系、網膜などの血管内皮細胞に蓄積され、小血管障害が起こることが要因の疾病です。予防のためには高血糖をコントロールするとともに、血液中の糖化反応を抑制することが必要です。
(文責:光永 俊郎)
2014年10月03

ミスカミスカ®物語16

テーマ:ミスカミスカ
ミスカミスカ®の抗糖化作用7:糖尿病と糖化およびミスカミスカ®の効用1
血液中の糖化反応

 血液中には成分としてタンパク質(主にヘモグロビン、アルブミン、グロブリンなど)とグルコース(血糖)が常に一定の濃度で存在しています。そのためにPDF1に示すように血液中では常に糖化反応が起こっています。
 この反応はグルコースのアルデヒド基がタンパク質のN末端アミノ基やリジンの
ε‐アミノ基やアルギニンのグアニジノ基と反応して、シッフ塩基を形成することから始まります。この反応は可逆的ですので、グルコースの濃度が高いほど化学平衡はシッフ塩基を形成する方向に傾きます。シッフ塩基は、次いで分子内転移反応(アマドリ転移反応)を起こして、比較的安定なアマドリ化合物になります。アマドリ化合物生成までの反応は前期反応と呼ばれています。
この前期反応の最終生成物として血液中には以下のアマドリ化合物が存在します。
 
 ヘモグロビンA1c:赤血球の構成成分タンパク質であるヘモグロビンのβ鎖グロビン
(HbA1c)     のN末端アミノ酸残基のバリンにグルコースが結合したアマドリ化合物
 フルクトサミン:血清タンパク質のアルブミンとグロブリンにグルコースが結合した 
            アマドリ化合物
 グリコアルブミン:血清タンパク質のアルブミンにグルコースが結合した 
             アマドリ化合物
さらに、この反応は酸化、脱水、縮合、環状化 など複雑な中間段階を経て、終期段階で最終糖化産物(AGEs)を生成します。この反応は後期反応と呼ばれています。

 
アマドリ化合物の糖尿病への臨床応用
糖尿病は血液中のグルコース濃度(血糖値)が病的に高い状態を指す病名です。血糖値は、インスリン、グルカゴン、コルチゾールなどのホルモンの働きによって正常な人では常に一定範囲に調節されています。しかし、いろいろな原因によってこの調節機構が破綻すると、血糖値が異常に高くなり、糖尿病を発症します。 
 一般に健常者では空腹時血糖値100㎎/dℓ未満、食後2時間140㎎/dℓ未満です。しかし血糖値が空腹時血糖値126㎎/dℓ以上、食後2時間200㎎/dℓ以上であると糖尿病と判断されます。この値は測定時の状態で、食事による影響など不確実な要素が含まれ、慢性高血
糖かどうかの判定が難しい点があります。
 これに対して血液中のアマドリ化合物は血糖値が高いほど生成量は多く、血液中で一定期間寿命がありますので、過去の血糖値を記録していることになります。血液中のアマドリ化合物の含量は慢性高血糖であるかどうかを反映していますので、血液中のアマドリ化合物量は糖尿病マーカーとして利用できます。

糖尿病マーカーとしてのHbA1c
HbA1cは血液中の含量は血糖値が高いほど増加します。赤血球の寿命は約120日です
ので、過去1~2月間の平均血糖値を反映しています。日本糖尿学会では診断基準として総ヘモクロビン量に対してHbA1c量が6.0%以下を正常値とし、6.5%以上は糖尿病と診断されています。

糖尿病マーカーとしてのフルクトサミンとグリコアルブミン
血清タンパク質の半減期は15~20日ですので、フルクトサミンの含量は過去2~3週間の血糖状態を反映しています。これも血糖値コントロールの指標として用いることができるとされていました。しかし、個人間のフルクトサミン濃度にかなりのばらつきがあることなどから、正常値の設定に困難がありました。
 最近になり、フルクトサミンの中のグリコアルブミン(糖化アルブミン)のみを定量する方法が開発されました。グリコアルブミン濃度はフルクトサミン濃度のようなばらつきがないため、現在ではグリコアルブミンの測定が採用され、診断基準として総アルブミン量に対してグリコアルブミン量が17%以下は正常値、20%以上は糖尿病と診断されています。

糖尿病の検査
 糖尿病の検査で採血して、血糖値、グリコアルブミン値、HbA1cを測定することにより、下記のように糖尿病の早期発見および有効な治療効果の確認ができます。
  • 血糖値:採血した時の血糖状態。
  • グリコアルブミン値:2週間前の血糖状態。
  • HbA1c値:1ヵ月前の血糖状態。
 
(文責:光永俊郎) 

プロフィールPROFILE


光永 俊郎(みつなが としお)

農学博士。TOWA CORPORATION株式会社 学術顧問、近畿大学名誉教授、日本穀物科学研究会幹事、日本栄養・食糧学会(評議員・終身会員) 。2011年瑞宝小綬章授章。

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